【令和4年度版】個人事業主の申告漏れが多い業種ランキング

国税庁から、個人事業主の申告漏れ実態を示すデータが毎年公表されています。
この調査結果レポートには、「事業所得の申告漏れ金額が高い業種ランキング」が掲載されているのが特徴です。

この調査対象期間は、令和4年7月から令和5年6月までの1年間分になります。
最新のランキングデータが2023年11月に公開されたことから、個人事業主における申告漏れの実態が改めて浮き彫りになりました。

申告漏れ金額の高い業種順にランキングが示されていますので、自身の業種がどの程度のリスクがあるのか確認しておくことが重要でしょう。
適正な申告を怠ると、将来的に修正申告を求められる可能性があります。

本記事では、令和4年度のランキングを解説しています。
「人の振り見て、我が振り直せ」ということで、期限間際の対応にするのではなく、早めに準備するきっかけになれればと思います。

1. 令和4年事務年度の申告漏れ上位10選

令和4年事務年度の申告漏れ上位10選は、下図の通りです。

令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(国税庁)を加工して作成

国税当局の調査結果で、「経営コンサルタント」業界が2年連続で個人事業主の申告漏れ額ランキングトップとなっているのは注目すべき点です。

この業界には確かに幅広い職種が含まれており、適切な申告を行っている方々が大半を占めていることでしょう。
一方で、節税対策や社会保険適用の解釈など、グレーゾーンの手法を提案する事業者がいるのも事実です。

今回のランキングで上位になった背景には、過度な節税スキームの否認や、売上の過少申告といった要因が潜んでいる可能性があります。
法的にグレーな手法には課税リスクが高く、結果として申告修正が求められるケースに該当したのかもしれません。

このように、一概に業界全体を非難することはできませんが、コンプライアンスを軽視する風潮が一部にあることは確かで、そうした実態が数字で表れているようです。

2. 過去の事務年度の申告漏れ上位5選

過去の事務年度の申告漏れ上位5選は下図の通りです。

令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(国税庁)を加工して作成

過去のデータならびに注釈を見る限り、経営コンサルタント業界は申告漏れ額が高い状況が続いていることがわかります。
一方で、風俗営業など風紀営業の申告漏れ件数は近年低下しているようです。
これは、令和3年事務年度以降、新型コロナウイルスの影響があることも加味しなければならないかもしれません。

このような業界間の違いが生じる背景としては、コンプライアンス意識の向上が一因と考えられます。
世間的な価値観の変化を受け、事業者自身が自主的に適正な申告を心がける機運が高まっているのかもしれません。

また、申告漏れに対する当局の監視体制が強化されたことで、不正を行うリスクが高くなり、事業者の姿勢が是正されつつある面もあるでしょう。
近年は透明性が強く問われる時代となり、誠実な事業活動を行うことが企業価値を左右する大きな要素になってきています。

こうした環境変化を踏まえれば、申告に関する法令順守は不可欠であり、事業の持続的発展のために重要な経営課題と言えるでしょう。

国税庁のリンク

国税庁が公表している、令和4事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について、より詳細な情報を確認したい方は、国税庁のホームページも併せてご確認ください。

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