年齢分布から考える税理士の選び方 | 60代が犇めく税理士業界
税理士に関して、皆様はどのような印象をお持ちでしょうか?
税理士は、経営などの相談を受けることから、「一定の知識と立ち居振る舞いができる」や「ベテランで経験豊富」といったイメージを持たれる方も多いかもしれません。
以前は、看板を出すだけで仕事の依頼が来るほど需要がありました。
しかし、現在はインターネットの普及により、そのような状況は変わってきています。
それでも未だにホームページやSNSを運用していない事務所も多く、業界全体として見えづらい側面があります。
本記事では、このような税理士業界の年齢層について、2015年の調査データ<第6回税理士実態調査報告書(2015年3月27日)>を基に紹介します。
「データ古くない??」と感じた方もいらっしゃるかと思いますが、詳しい調査は10年に1回しかないため、こちらを参考にいたします。
なお、第7回税理士実態調査は2024年に実施されており、2025年には公表されるかと思うので、楽しみですね。
1. 税理士の年齢分布
税理士には様々な形態があります。
「自営の開業税理士」「税理士事務所に勤務する補助税理士」「法人に所属する社員税理士」などが存在します。
このデータからも分かる通り、税理士業界全体の平均年齢は60歳を超えており、年齢分布からも、半数以上が60歳以上となっております。
中間値も60歳代となっており、WHO(世界保健機関)の定義では65歳以上が高齢者とされているため、税理士の1/3は高齢者が占めていることは明らかです。
一方で、20歳代は0.6%、30歳代は10.3%、40歳代は17.1%と、年齢層が低くなるにつれて徐々に割合が高くなる傾向にあります。
最も多いのが30.1%を占める60歳代です。
税理士には、国税当局に勤務した経験者(国税OB)が、一定の要件を満たせば税理士としての登録条件をクリアできるルートがあります。
最短で40歳代からこの資格を取得可能であったことから、40歳代以降で税理士が増え、60歳代には退職した国税OBが多数加わるためこの年齢層が最多となっているようです。
2. 開業税理士の年齢分布
開業税理士にフォーカスしてみると、さらに若年層の割合が減少しています。
開業している税理士の多くは、40歳代前半までに税理士試験に合格し、自ら事務所を開業した方々です。
そのため、40歳代以下の割合は18%と低くなっています。
私は30代のため、税理士の中ではかなりの若手であることは明らかですね。
年齢層の高い業界の中で、若くして独立開業されている方は珍しいケースと言えるでしょう。
3. 年齢層から考える税理士の選び方
ご年配の税理士は、長年の経験から得られた自信と安心感を醸し出しております。
そして、高齢税理士が所長の事務所には、専門書が並ぶ書棚があり、FAX、電話、紙の書類のやり取りが中心の、昔ながらの雰囲気が漂っています。
職員も複数名在籍し、地元の有力者とのコネクションも豊富だと思われます。
事務所には専門書が並ぶ書棚があり、FAX、電話、書類のやり取りが中心の、昔ながらの雰囲気が漂っています。
国税OBの方も多く、専門分野としての経験と実績を有する税理士は評価が高いでしょう。
税務調査での人脈は頼れなくなった現代においても、「先生」という存在感は健在です。
しかし、今回参考にした第6回税理士実態調査が報告された2015年から早くも10年が経過しようとしており、時代は大きく変化していることは明らかです。
メールからLINEを中心としたチャット、オンプレからクラウド、対面からWEBなど、IT化を中心とした技術の進歩は目まぐるしいです。
クライアントが税理士に合わせるのではなく、時代に沿った形で、税理士がクライアントに提案出来る形が求められていると考えております。
若手税理士は、日々の生活でスマホを中心としたIT技術に触れる機会が多いものの、税理士業務として必ずしもデジタル化が進んでいるわけではなく、アナログの手法も残されています。
なぜなら、年配の税理士の下で修行を重ねてきたことが要因と考えられます。
税理士業界全体としては、アナログ的かつ閉鎖的な部分があることは事実です。
「税理士選びは運」と言われる部分もありますが、大切な事業、会社の大切な会計・税務を任せる税理士を運に任せるのはどうなんだろう!?というのが私の本音です。
自身で情報収集に努め、解約も視野に入れた適切な選択が求められます。